マンションを考えるヒント

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遮音床仕上 最近の話題

以前からこのブログで詳しく取り上げている乾式二重床、直床の双方に、新しい動きがましたので、ご紹介します。


■ 乾式二重床系

乾式二重床は「コストを抑えつつ、低下しがちな遮音性をどうやって改善するか」に主眼をおいた開発が進んでいるようです。
以前からそうなのですが、この分野の研究開発に熱心なゼネコンとそうでないゼネコンとで結構ハッキリわかれますね。
いろいろ手法を開発はしているものの、現実には「コストの壁」に阻まれるのか、まだ、実績として残るまで至っていない点が残念ではあります。

■粒状体を内挿した乾式二重床「T-Silent GranFloor」を開発
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2015/1445844536723.html
(大成建設2015.12.03)


乾式二重床とコンクリート床スラブとの間に、袋に入った粒状体を内挿することで、コンクリートに伝わる振動を抑制し、床衝撃音や固体伝搬音を大幅に低減する乾式二重床「T-Silent GranFloor」を開発しました。(中略)
粒状体の入った袋の設置により、5dB〜10dBの騒音低減が可能です。
大成建設 二重床遮音 「T-Silent GranFloor」

文面からすると乾式二重床特有の重量床衝撃音の遮音性改善に効果があるようです。
数値的には結構な改善値ですね。コスト的にも手間的にも、現実的な(採用されうる)改善方法になりそうな手法になりそうで期待が持てます。




■「遮音高性能乾式二重床」を開発
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2015/1424245265826.html
(大成建設2015.04.16)


従来の乾式二重床は床材とスラブに挟まれた空間を配管スペースとして利用し、部屋の配置等を自由に設計できることから、多くの集合住宅で採用されていますが、その共振特性により重量床衝撃音や固体伝搬音を増幅させる傾向があります。(中略)
そこで大成建設はトップ工業と共同で、床材を安定的に支え、揺れを抑制する二連支持脚と重くて硬い床材(硬質石膏ボード、パーチクルボード)とを組み合わせることにより、重量床衝撃音や固体伝搬音を効果的に低減させる「遮音高性能乾式二重床」を開発しました。
遮音高性能乾式二重床(大成建設 2015)

高価なアスファルト制振シートを使わずにΔLH-4等級を取得できる数少ない乾式二重床。
下地合板を「点で支える支持脚上板」ではなく、「線で支える上板」と「硬質下地板材」を用いて遮音性能を向上させている点は、以前紹介した竹村工業のジャストフロアーとも共通する部分がありそうです。


■石貼り仕上げの低床乾式遮音二重床工法「NSフロアーⅥ」を開発
http://www.kumagaigumi.co.jp/press/2014/pr_140402_1.html(熊谷組 2014.04.02.)

今回、開発したNSフロアーⅥは、パーティクルボードの上の下地材を針葉樹合板の一枚貼りとし、もう一枚は環境に配慮したガラス繊維不織布入りせっこう板に変更しました。
 また、乾式二重床を低床とすると、一般的には床衝撃音低減性能が低下しますが、本工法では支持脚の仕様を工夫することにより、床仕上げ高さ100mmで施工した場合でも性能の低下を起こさず、従来工法と同等の高い床衝撃音低減性能を実現しました。
石貼仕上低高二重床「NSフロアーⅥ」熊谷組

乾式二重床のメリットである「石材仕上等での高遮音」という特徴を伸ばした新型二重床。
ただし手法に斬新さは無く、高さ的に二重床のメリットの一つでもあった床下配管は無理。
また「軽量:ΔLL(Ⅱ)-3S 重量:ΔLH(Ⅱ)-2S」という遮音性能を「高い」と謳っている点にも少々疑問が残ります。






■ 直床系

直床系は持ち前の高い遮音性能と低コストを武器にしながら、歩行感の改善を図った遮音フローリングが製品化されはじめました。

フワフワしない遮音直貼フローリングの出現です。

以前から歩行感改善型(フワフワしない)直貼フローリング・クッションシートはあるにはあったのですが、どれも大手メーカーによる製品ではなかったため、設計、売主ともに「どんなものなのか」多少静観していた部分がありました。

しかし、2015年後半になって朝日ウッドテックやサンワカンパニーといった大手からも歩行感改善型(フワフワしない)の直貼フローリングが発売され、三菱地所のような大手デベロッパーが早速自社の新築マンション(ザ・パークハウス南行徳)に採用し始めているという点が、直床・二重床を含めて最も大きな動きと言って良いのではないでしょうか。


■ザ・パークハウス 新歩行感フロア「スマートハード」を採用
http://www.mecsumai.com/tph-minamigyoutoku/equipment/index3.html#btnArea
新歩行感フロア「スマートハード」 三菱地所
ザ・パークハウス南行徳 三菱地所レジデンス 2015)


三菱地所レジデンスによる新築マンション「ザ・パークハウス南行徳」で歩行感改善型の遮音フローリングが採用されました。

三菱地所レジデンスは業界内でもいち早く推定L等級(LL-45等)を使った古い遮音性表示を撤廃するなど、遮音に対しては比較的積極的なデベロッパーだと思います。
直貼遮音フローリング自体、三菱地所でも以前から採用実績のあるものではあるのですが、「直床の弱点」とも言われてきた「フワフワした歩行感」が改善されることで、より一層採用例が増えるのでは・・・と想像してしまいます。
尚、スマートハードとは下記、朝日ウッドテックの製品名のようです。



■歩行感改善直貼フローリング登場!
歩行感改善直貼フローリング 朝日ウッドテック
http://www.woodtec.co.jp/renovationfair2015/ 朝日ウッドテック 2015)

L45=ΔLH(Ⅰ)-4を取得した遮音直貼りフローリングが、業界大手の朝日ウッドテックからもデビューするようです。すでに新築マンションへのフローリング供給元として大きなシェアを持つメーカーなので、三菱地所以外のデベにも普及が見込まれる製品だと思います。



<追記>2016.10.02.
この朝日ウッドテックのフローリングの実物を見ました。フワフワ感をなくすために「しっかりした硬さのあるクッション材を使っている」のかと思いきや、これがなんと真逆で、これまでの遮音クッションよりも更にやわらかいクッション材を使っていました。そのクッションはあまりに無抵抗なので、逆に足が触れた瞬間からの「沈み込み」を感じさせず、足に残るのはクッションが底付きした時のしっかりとした感触だけ。そのため、フワフワ感が無い・・・という代物です。耐久性とか大丈夫なのかな、これ。しかし面白い、逆転の発想でしたね。





■フワフワしないしっかりした歩行感の遮音フローリング
 デューロ・ボーン
フワフワしない遮音フローリング デューロボーン サンワカンパニー
http://www.sanwacompany.co.jp/shop/c/c301523/
 サンワカンパニー 2015)

サンワは一般消費者向けに低価格で建材を供給する大手の建築資材販売会社です。
新築マンションにサンワの本製品が採用されることは少ないかも知れませんが、既存マンションのリフォームなどに向け、より幅広い選択肢を示せる製品だと思います。






ということで、当ブログでも比較的アクセスの多い「直床・二重床」に関して、最近の話題や新製品などを紹介してみました。

二重床がウイークポイントである遮音性の改善に四苦八苦している間に、直床は一つ一つ着々とウイークポイントを消してきている印象がありますね。

5年位前までは「二重床は遮音性が高い」という間違った常識が宣伝文句にまで使われていたマンション業界ですが、最近では古い人や古い記事を除き、そういう話を聞く機会が少なくなってきたようい思います。

その一方で、2016年現在販売中の新築マンションに採用されている殆どすべての二重床が、直床よりも遮音性能で劣るものであるという状況に変化はありません。

スマートハードのような歩行感改善型の直床遮音フローリングは、この先益々増えていって数年のうちに主流になっていくことと思われます。

二重床にとって殆ど唯一のメリットであった「歩行感」までも直床に並ばれてしまっては、消費者にとっての実利を考えると殆ど二重床を選択するメリットがなくなってしまったかな、、、、という気がしているのですが、首都圏での二重床信仰はまだまだ根強いものがあるようですね。

そんなこんなの理由も有り、「消費者の実利」ばかりが採用・判断基準とはならないのが、実際のマンション販売業界。




散発的にはなりますが、今年も高橋健介は実需でマンション購入を考えるみなさんに対し、

「消費者にとっての実利がどこにあるのか」

を考えてもらうヒントを書いていきたいと思います。



だいぶ遅くなりましたが、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。




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テーマ:住宅・不動産 - ジャンル:ライフ

  1. 2016/01/25(月) 07:00:27|
  2.  直床・二重床
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直床は階高が低いのか

前回の「タンクレストイレは狭いのか」と同じような話なのですが、


直床マンションって、階高が低いのでしょうか?


冷静に考えてみましょう。


直床の施工寸法はコンパクトです。
そのため、同じ階高の区画であれば、二重床よりも高い天井高が実現でき、
低い階高の区画であっても、天井高を確保しやすい。

これは直床の持つメリットの一つです。

低い階高には直床が適しています。
階高が低くて直床にしないと居住性が損なわれるマンションもあります。

そのため全体の平均値をとった場合、おそらく二重床マンションよりも直床マンションの方が階高が低いと考えられます。

しかし、だからといって「直床=階高が低い」とは限りません。
また、「二重床=階高が高い」とも限りません。
*同じグレード(建築コスト)のマンションであれば、直床であれ二重床であれ、基本的に階高は同程度となります。


あたり前の話ですが、階高が低いかどうかはマンションごと、同じマンション内での階数ごとに異なるものなので、直接立面、断面図を見て確認・評価すべきものです。

直床か二重床で答えが出るものではありません。

これらのことを単に「直床は、階高が低い」と短絡的に言い、直床のデメリットと呼ぶと、大きな誤解を生じてしまいます。
「二重床なら階高は高い」という間違った認識にもつながりかねません。

極端に階高が低いマンションは居住性が良くありませんが、そのようなマンションに直床が使われる(対応能力・適正がある)からといって、直床自体に問題があるわけではないのです。
階高が低いマンションに直床を採用することは、マッチングの良い適切な手法をとっているに過ぎません。


実需でマンションを購入するみなさんにとって重要なことは、「二重床、直床が採用されているマンションの階高平均値がどのくらいか」ということではなく、「自分が選ぶマンションの階高が何mmなのか」ということです。

原因と結果を正しく対応させて考えないと、何がどのメリットで、どれが何のデメリットなのか、本質が見えなくなってしまいます。

思い込みや短絡思考で、本質が見えなくならないように、ご注意ください。
(特に評論家のみなさん)


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  1. 2014/09/20(土) 18:21:46|
  2.  直床・二重床
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二重床の太鼓現象対策:空気抜はどのくらい必要?

乾式二重床で発生する重量床衝撃音増幅の原因は、床下空気層が壁面との間で拘束されて太鼓のように振舞うことで発生する太鼓現象です。
重量床衝撃音はマンショントラブルの一番の原因なので、太鼓現象の軽減と解消は二重床の大きな課題。
その対処法として、ΔL等級を取得した壁先行二重床では空気拘束を緩和するために壁(先行壁)との隙間に2mm程度の空気抜きが設けられています。

しかし、その2mmの空気抜き隙間で太鼓現象は解消されるのでしょうか。
また、太鼓現象が起きない空気抜きの寸法はどのくらい必要なのでしょうか。


このあたりに関しては戸田建設と熊谷組の事例がありますので、実験レポートを含めてご紹介したいと思います。


■空気抜き:壁先行二重床の場合

戸田建設では技術研究報告第35号
「乾式二重床の床下空気層の密閉度が重量床衝撃音レベル低減量に与える影響について」
http://www.toda.co.jp/lucubration/pdf/v541.pdf において

近年、集合住宅の床仕上げ構造には、乾式二重床が多く採用されている。しかし、乾式二重床の重量床衝撃音遮断性能は、スラブ素面に対して 1 〜 2 ランク程度性能が低下する場合が多い。



として、太鼓現象を抑制するために必要な空気抜きとなる隙間の幅と位置(割合)を探っています。

戸田建設 乾式二重床の床下空気層の密閉度が重量床衝撃音レベル低減量に与える影響について


研究資料中では

床端部の隙間からの空気抜きは空気ばねに対して有効であり、理想的な空気抜きが可能であれば、スラブ素面の重量床衝撃音レベルからの二重床による性能悪化を防げる可能性が示唆された。


と結んではいますが、実験データを見るとその「理想的な空気抜き」のためには巾木の無い状態で壁4方全周囲に5mm~10mmという大きな隙間を空けなければならず、実用上の限界とされる2~3mm程度の隙間では太鼓現象を解消できないことがわかります。
実際のマンション環境に近い隙間2mm、2~3辺空気抜きの場合には、太鼓現象対策の空気抜きを設けていても低減量が-4~-3dB程度となって騒音増幅。巾木を付けた環境では-5dB程度に騒音増幅されてしまっていますね。
これは二重床メーカーの個別試験データを見ても同じ傾向があり、制振シートなどを使用しない限り空気抜隙間を空けた二重床でも重量床衝撃音レベル低減量の63Hz帯(重量床衝撃音の性能決定周波数)はマイナスの状態(騒音増幅)です。二重床の遮音性を高めるためには、まずはじめにこの部分を改善する必要があります。


■空気抜き:床先行二重床の場合

壁先行二重床では前述したような2mm程度の壁際隙間を形成することができましたが、最近主流になりつつある床先行二重床工法では構造上壁と床が密着してしまうため、そのような隙間を形成することが出来ません。(一方で床先行二重床では床下気室容積が大きくなるため、密閉状態同士で下階遮音性能を比較する場合には壁先行工法よりも良い性能になる傾向があります)

そこで熊谷組では、床先行工法でも壁先行工法で用いられる2mmの隙間と同等性能の空気抜きを設けられるよう、LGS壁厚内に向けて空気抜きの穴をあける「乾式二重床VM工法」を開発し、特許を出願しています。

熊谷組 VM工法 床先行二重床
   写真1 間仕切り壁下の空気抜き用の孔

一般的に二重床端部と木幅木の間に2mmの隙間をあけている工法と今回開発した工法は図7に示すように同等の床衝撃音遮断性能であることがわかります。
熊谷組 VM工法 床先行二重床 31.5Hz帯
熊谷組 VM工法 床先行二重床 63Hz帯
   図7 重量床衝撃音レベル測定結果

http://www.kumagaigumi.co.jp/press/2012/pr_130328_1.html
(乾式二重床VM工法を開発 熊谷組 2013)


前述したように、この「2mmの隙間と同等」程度では太鼓現象を解消することはできないのですが、空気抜きが何もないよりは大分マシになります。今後は改良を重ねると共に、ぜひとも普及していって欲しい工法の一つですね。


■空気抜だけで太鼓現象を解消することは実質不可能


実験データ、製品の性能データを見ても、空気抜だけで太鼓現象を解消することは実質不可能不であることがわかります。
今できる対策は、空気抜きを確保して「太鼓現象をなるべく抑制すること」
ですね。

新築マンションを購入する際には、内覧会時点で「巾木と床の隙間」をミリ単位で確認したり、壁の内側の空気穴を確認する(実質不可能ですが)ことが必要になっているのかもしれません。
しかも自室の騒音に関係しているのは自室の施工状況ではなく上の階の施工状況なので、」話はますます難しくなってしまいます。

遮音における二重床の扱いにくさが明らかになったのはここ最近10年の話。
10年を長いと見るか短いと見るかは人それぞれですが、まだまだその事実は浸透していません。

設計者、現場施工者、デベロッパー、そして消費者全員がその事実を正しく認識した上で、より良いものをつくっていく。
消費者のみなさんに頼るなど申し訳ない話ではあるのですが、残念なことに消費者が変わらなければデベロッパー(決定者)は変わりません。
巷にあふれる間違った噂話や嘘に騙されずに、客観性のある正しい情報で住まい選びをしていってください。
そのことがより良いものの提供につながっていくと、私はそう考えています。

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  1. 2014/06/22(日) 13:17:33|
  2.  直床・二重床
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本当に遮音性が高いと言える二重床

億ションを含め、現在の新築マンションに採用されている二重床の遮音性は直床に劣るものになっていることはこれまで書いてきたとおりです。
しかし、中には「本当に遮音性が高いと言える二重床」も存在していますので、今回はそのあたりを紹介していきたいと思います。

乾式二重床による重量床衝撃音の増幅(太鼓現象)を緩和するため、二重床メーカー、ゼネコン各社では独自の研究開発を行っており、中には既に製品化されているものもあります。


■大成建設

大成建設技術センター報 第 41 号(2008) 「床衝撃音対策用仕上げ床の研究開発」では、現在の金属脚支持式二重床を脱却した新しい高遮音性根太床式の二重床を開発を報告しています。

大成建設 高遮音二重床


この二重床は太鼓現象が起こりやすいクッションゴム付金属脚による点支持をあきらめ、総木根太式とした上で床下の空気の流れに配慮し、また直貼用クッション付フローリングを採用することで品確法「特認」相当、直貼遮音フローリング同等以上の遮音性を確保しました。
大成建設はこの二重床を開発する研究資料の中に、

乾式二重床では重量床衝撃音の平均的な増幅量を見込むためコンクリート床スラブの厚さを 17%程度(例えば 300mm 厚を 350mm)厚くせざるをえなかったのに対して,検討根太床は見込む必要が無いため,コンクリート床スラブの厚さを従来より薄くすることが可能となる。
http://www.taisei.co.jp/giken/report/2008_41/paper/A041_043.pdf


と記載しています。
品確法に基づく住宅性能表示制度では一般的な二重床を採用することでスラブ厚25%分の遮音性低下と評価していましたが、大成建設では17%分の性能低下と評価し、それを打ち消せる二重床を開発したようですね。

この高性能二重床が採用されたマンション実例はまだないようですが、大成建設はグループ会社でマンション開発(売主)もやっているのですから、まずは自社物件にこの高性能床を採用することで是非とも今後の普及に繋げていって欲しいものです。


■竹村工業

木毛セメント板メーカーの竹村工業では、一般的な木質系乾式二重床に較べて高い強度と重量をもつ木毛セメント板を下地に用いることで、高い耐荷重性能と遮音性を両立させた新しい乾式二重床を開発しています。現在の新築二重床マンションの全てがパーティクルボード下地を採用する中、根本的な材の見直しをおこなうことで、最大ΔLL(Ⅱ)-4、ΔLH(Ⅱ)-4、という高い遮音性能を実現しています。

ジャストフロアー
竹村工業 ジャストフロアー
http://just.takemura.co.jp/gaiyou.html


ただしこの製品は材料が重く高価なことに加え、硬いセメント板は一般的に採用されているパーティクルボードのような現場カットができないため、ミリ単位で実測を行った製品発注作業が必要です。これはかなりの工事負担になる上、寸法を数mm、角度を1度間違うとせっかくの遮音性が台無しになりますね。そのためか実際の二重床マンションに標準採用された事例を見たことがありません。高性能なだけにこの点がもったいない。更なる改良に期待したいです。


■淡路技研

二重床メーカーである淡路技研の「プレフロアーES8シリーズ」では、8mm厚の遮音シートを下地に敷きこむことでΔLL(Ⅱ)-4、ΔLH(Ⅱ)-4、という高い遮音性能を実現しています。

淡路技研プレフロアーES8
http://www.catalabo.org/cgi-bin/openCatalog.cgi?catalogId=0373_PA13CM06&pageId=22S


この二重床は「遮音シート材」が高価であるものの施工的には一般的な二重床に近く、今回紹介した中では最も現実的な選択肢に思えます。(最近は億ションですらこういった遮音シートのある二重床を使っていません。とても残念なことです。)

一つ気になる点としては淡路技研は床フローリングを壁から5mm離して施工するという業界内で最も広い空気抜きを標準ディティルをとしています。(一般的には2mm程度)
この5mmという広い空気抜き隙間が太鼓現象に効くため、淡路技研の二重床は床構造材自体が他社二十床より簡素なものであっても、実験室上は比較的良い重量床衝撃音レベル低減量(遮音性)が得られています。
次回「二重床の太鼓現象対策:空気抜はどのくらい必要?」で詳しく書きますが、この空気抜き隙間は2mmどころか5mmでも足りません。つまり現実問題空気抜きは広ければ広いほど遮音性能が改善するのですが、その一方で実際のマンションで5mmの隙間を取るのは施工的・販売的にかなりのチャレンジになります。
厚めの巾木を使って隙間を隠しても見た目にかなりキワドイ(クレームが心配)ですし、そのための施工精度も必要。また床板の横動き抑制にも気を遣います(クレームが心配)。
現場側ではもっと狭い普通の隙間で施工したくなりますが、普通の二重床と同じような隙間で施工した場合には遮音性能が悪化してしまいます。
表示性能は良いのですが、このあたりが実務者から見ると、ちょっと使うのが不安になる二重床ではありますね。


ここまで見てもわかるとおり、メーカー側はがんばって開発をしてはいるのですが、どれも高コストや高い施工難度(=高コスト)がネックになり実際のマンションに採用されていないという現実があります。
二重床の遮音性能を、直床並み・直床以上にしようとすると、このような大きな対価が必要になるとあっては、遮音性を考える上では二重床なんて元々採用しないほうが良かったという話でしかありません。

現在の二重床はまだまだ発展途上です(二重床メーカー談)。
今後二重床には「実際にマンションを購入する一般消費者のメリットになるような進化」を遂げていって欲しいと考えています。

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  1. 2014/06/21(土) 03:02:22|
  2.  直床・二重床
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CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の記述

CASBEE (キャスビー、建築環境総合性能評価システム)は、2001 年に国土交通省が主導し、(財)建築環境・省エネルギー機構内に設置された委員会によって開発された建築物の性能評価システムです。

前回書いた品確法に比べてあまりなじみが無いかもしれませんが、どちらかと言うと省エネや環境性能に重点をおいた公的な性能評価システムですね。その中で床の遮音性(重量床衝撃音)に関し下記の記述がなされています。

重量床衝撃音遮断性能は、スラブの種類、曲げ剛性、質量、床仕上げ材、スラブの端部拘束条件、受音室の吸音特性などによって異なる。参考までに重量衝撃音に対する遮音等級の目安(参考1)と、各種仕上げのLr値改善量(参考2)を示す。
CASBEEスラブ厚と面積に応じた遮音性能表
CASBEE床仕上に応じた遮音性能表
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/166659.pdf
(CASBEE 建築環境総合性能評価システム 神奈川県 2010)
  参考1)「建築物の遮音性能基準と設計指針(第2版)」 日本建築学会編 1997
  参考2)「建物の床衝撃音防止設計」 日本建築学会編 2009


*わかりやすいように今の新築マンションに採用されている直床と二重床部分を黄色に着色しています。

CASBEEに掲載されている参考の表は「建物の床衝撃音防止設計(日本建築学会編 2009)」に書かれているものです。
その表でも二重床のL値改善量(遮音性能)は重量床衝撃音、軽量床衝撃音共に直床に比べて低く、特に重量床衝撃音の改善量がマイナス(=悪化)であるとされていることがわかります。
これは市場にある床仕上製品の実性能のうち、軽量床衝撃音は直床がΔLL(Ⅰ)-4(=LL-45)であるのに対して二重床ではΔLL(Ⅱ)-3の性能に留まっていること。重量床衝撃音では遮音性能に最も影響する63Hz帯での床衝撃音レベル低減量が二重床ではマイナスになっていることを受けてのものですね。
>床仕上げ材によって性能向上を得ることは難しい場合が多い。
と書かれている反面、表にもあるように性能低下を得ることは簡単です。

尚、乾式二重床の最下段に書かれている「フローリング(下地改良型)」というのは一部メーカーやゼネコンによって開発されている高遮音性の二重床です。それらは床上げ方式を含めて根本的な改善を行っており、中にはセメント板による二重床構造を採用したものや、分厚い遮音シートを採用したもの等、様々な工夫を見ることができますが、高コストがネックになり現時点では実際のマンションに採用されていません。詳細は次回以降で紹介していこうと思いますが、高コストが解決されない今の状態ではこの先も普及するのは難しいと考えています。


前回書いた品確法による性能評価でもそうなのですが、せっかく直床より高い費用をかけて二重床にしたにも関わらず公的な立場からこのような低い評価を与えられることは、売り手にとっても買い手にとってもとても残念なことです。
今後は「低コストで施工安定性が高く遮音性が高い」二重床が開発されることを期待したいところではありますが、そこを到達点とするのであれば、既に「低コストで施工安定性が高く遮音性が高い」という特徴を獲得している直貼遮音フローリングを見直すべきとも思えてきます。

現在のように直床に対して遮音性に劣る二重床を採用し続けるのであれば、遮音性をメリットとして販売するとになってしまいます。
マンション業界においても今後は歩行感等をメリットとした正直な販売が行われるべきなのではないでしょうか。

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  1. 2014/06/20(金) 12:43:17|
  2.  直床・二重床
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品確法(住宅性能表示制度)による遮音性能評価

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)は住宅の性能に関する表示基準・評価制度を設けることにより、住宅の品質確保の促進・住宅購入者等の利益の保護を図ることを目的として国交省によりつくられた法律です。
ご存知の方も多い住宅性能表示制度も、この品格法に基づくものですね。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/hinkaku.htm

この品確法に規定する評価方法基準として日本住宅性能表示基準に従って表示すべき住宅の性能に関する評価の方法として定められた下記の基準には、「スラブは厚い方が遮音性が高い」といった基本的なことを含めて様々な音環境の評価基準が定められています。

品確法  住宅性能表示制度 評価基準
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/hinkaku/060601hyouka.pdf

この中にある二重床と直床に関する記述(P.87付近)を見た時に評価上で大きな違いが出るのが足音などマンション居住で最もトラブルの原因となりやすい重量床衝撃音に関する部分です。

評価基準には床仕上構造によって相当スラブ厚(重量床衝撃音の低減に有効なスラブ厚さ)の増減を計算する下記の計算式があるのですが、

相当スラブ厚計算式


乾式二重床を採用した場合には法上、一義的に重量床衝撃音が5dBの増幅(ΔL=-5dB)と評価することが定められているため、計算上では相当スラブ厚(重量床衝撃音の低減に有効なスラブ厚)が直床に比べて25%も低いという評価になります。(注)

重量床衝撃音は一義的にはスラブ厚で対策がとられるものです。
当然ながら相当スラブ厚は「直床か二重床か」という点だけでなく、「スラブがボイドスラブか否か」やその「密度」等によって複合的に算定されるものですが、その中の1つの要素として、二重床は遮音にとってプラス(遮音)ではなくマイナス(増幅)に働くという評価になっているのです。マイナスの原因は所謂二重床の太鼓現象によるものですね。
同評価基準上では、騒音を悪化させる空気層を持たない(太鼓現象が起きない)直床はΔL=0dB(スラブが持つ本来の遮音性能を100%発揮できる)と評価されています。

注)
二重床でも「硬度60度未満のゴム脚」に加え「面密度30kg/㎡以上のアスファルト系面材(制振シート)等」を使うなど一定以上の対策が施された場合、および個別性能試験でΔLH(Ⅱ)-3同等の性能を発揮し「特認」を取得した場合は直床同等の性能評価(ΔL=0dB)とされています。面密度30kg/㎡のアスファルト系制振シートというと厚さで言えば約12mm相当のシートです。高度60度未満のゴム脚も含め、そんな立派な二重床を採用している新築二重床マンションは残念ながら存在しません。一方でΔLH(Ⅱ)-3の性能を個別取得した二重床を採用するマンションは一部で存在します。一般的には新築二重床マンションに採用されている二重床の性能は良くてΔLL(Ⅱ)-3、ΔLH(Ⅱ)-2、悪いといまだに推定L等級である中、住み手にとってΔLH(Ⅱ)-3は評価できる仕様です。消費者としては注意して選びたい部分になりますし、売り手側も今後はどんどん普及させていって欲しいものです。



上記評価基準の計算式に数値を入力し、今の二重床マンションの相当スラブ厚(重量床衝撃音の低減に有効なスラブ厚さ)がどのようになるのかを計算すると、下記のような対応表にすることができます。
品確法 住宅性能表示制度 評価基準

例えば270mmの中実(非ボイド)スラブ二重床は、品格法上202mm相当のスラブ厚であると評価されます。
200mmでは、なんと149mm相当(149mmスラブの直床同等)のd評価になります。

個人的には極端過ぎると感じる部分もあるのですが、これが今の二重床に対する公的な遮音性能評価の現実です。
*ちなみに一般的なボイドスラブを採用することによる品格法相当スラブ厚の低減率はスラブ厚換算でおよそ-10%。
それと比較しても二重床の騒音増幅効果(スラブ厚換算で-25%)が大きなものとして評価されていることがわかると思います。

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  1. 2014/06/19(木) 18:48:47|
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ΔL等級の二重床はどこが違うのか

今回は「ΔL等級の二重床はどこが違うのか」という話なのですが、実はΔL等級品であったとしても二重床の材や構造は旧推定L等級時代から何も変わっていません。
斬新な材や構造を採用した二重床は開発されてはいるのですが、コスト高になるため実際のマンションへ採用されることはなく「お蔵入り」している状態です。

最近は5年程前まではあまり見かけなかった下図のような合板レス二重床(ベースパネルとなる20mm厚のパーティクルボード上に合板を敷かず直接フローリングを貼った二重床)がかなりの割合を占める状態になってきており、むしろ構造的には悪化しているのでは・・・とすら思います。(これも建築資材と土地仕入価格の高騰、マンション価格上昇の抑制手段の一つなのでしょうけど、遮音性、室内騒音、歩行感、耐荷重の全てが悪化します)

ライオンズクオリティ 構造
合板レス二重床(大京)
http://lions-mansion.jp/ML121001/quality_structure.html
(ライオンズ豊見城セントマークス 株式会社大京 2014)



それでは一体何が違うのかというと、ΔL等級の二重床では、床端部収まり(壁と床の接点の構造)に「厳しい制約」が付きました。
壁との間にミリ単位の空気抜き隙間を確保するよう注意書きが付き、際材や幅木の位置種類まで指定した施工説明書になったのです。

「たったそれだけか!」と感じるかもしれませんが、それだけで二重床の太鼓現象には一定の改善効果が期待できます。
*残念ながら根本的な解決には至っていませんが。

しかしそこには新たな問題もあります。
説明書に書かれた「厳しい制約」が現場でミリ単位で正確に施工されているとは限らないという問題です。

例えば「集合住宅における遮音設計および施工管理の留意点(熊谷組技術研究所 GBRC 2012)」には性能低下の実例として巾木が乾式二重床と接触していた事例が掲載されています。

幅木接触写真GBRC
http://www.gbrc.or.jp/contents/documents/lab/sound03_03.pdf
集合住宅における遮音設計および施工管理の留意点(熊谷組技術研究所 GBRC業務説明会2012)


以前こちらに書いたように、私はこのような紙一枚入れて違いがわかるかどうかの隙間を埃が詰まらないよう維持管理していくことは非現実的だと思うのですが。。。


1ミリの誤差や施工手順・工法が遮音性能の大きな悪化につながるという二重床の性質は、作り手にとっても消費者にとっても大きなネガになります。
また、正確に施工しても部屋の面積や床上げ高さなどによって得られる遮音性能にバラツキが生じることは二重床の性質上避けられません。
乾式二重床は仕様の積上げで最終的な遮音性能(結果)を予測することが極めて困難であるため、一部スーパーゼネコンではそれを諦めて統計的な予測手法を併用し始めています。(結構効果的らしい)

また、大手建設会社でマンションメインでやっている管理者やマンションを多くやる番頭大工ならば知識と経験があると思いますが、実のところ二重床端部収まりの重要性やその詳細に関しては建築の世界でもあまり知られていないという現実があります。
ましてや新しい情報に接する機会の少ない「街のリフォーム屋さん」のような立場では、ΔL等級すら知らない可能性も高く、事実Web上でも業者(または設計者)自身によって書かれた「クッションゴムの付いた二重床脚を使って遮音性に配慮(それを使いさえすれば遮音性が高まる)」という趣旨の残念なリフォーム記事が散見されます。
中には「倉庫用の硬くて薄いゴムの付いた非遮音二重床」を集合住宅に採用したり、非推奨の際材(単なる木根太)を使っていながら自慢げに「遮音性」を語っている例すら


二重床マンションでは、自室の床下や壁際でそのような悪い施工がされていないことを願いつつ、住んでからも上階の住人がそのような悪いリフォーム工事をしないことを祈るしかありません。(本人も悪い工事をしている自覚すらないという点がこの問題の厄介なところなのですが)

「誰が施工しても期待された性能が安定して発揮される」という点も製品としては立派な性能だと思うのですが、現在の二重床には遮音性能の低さと共にそのような施工管理性が低い(シビア)というネガが存在しています。
遮音性の向上とあわせ、今後二重床メーカーにはそのあたりを含めた改善を期待したいところです。

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  1. 2014/06/18(水) 00:20:34|
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推定L等級とΔL等級の読み替えと対応

新しい(と言っても2008年から始まったものですが)遮音性等級であるΔL等級では、JIS A 1440-1,-2に定められた試験方法(実大実験室・箱形実験室)で遮音性能を測定するよう定められています。
これは実際のマンションでの遮音性能と実験室での遮音性能との対応性を向上させることを目的としたものです。
二重床では床下に拘束された空気層(太鼓現象の発生)があるため、以前の推定L等級で行われていた「実験室(残響室)に床構造の中央部だけを再現して採られた遮音性能値(太鼓現象無)」は、実際のマンション(太鼓現象有)で再現されないので注意が必要です。

ところで以前LL-45と言われた床仕上をΔL等級(JIS A 1440-1,-2)基準で測定した場合、一体どのくらいの性能になるのでしょうか。

まずJIS A 1440-1,-2によると、太鼓現象自体が発生しない直床では推定L等級とΔL等級の読み替えが許されており、例えば旧LL-45はΔLL(Ⅰ)-4と読み替え可能と定められています。

■カテゴリーⅠにおけるΔL等級と推定L等級の読み替え表

ΔL等級と推定L等級の読み替え表(カテゴリⅠ)
http://www.jafma.gr.jp/reform-qa.html(日本防音床材工業会)


*読み替え可能では有りますが、実際には直床も新環境で遮音性能値を取得し直しているものが多く、その測定結果を見ても旧LL-45フローリングがそのままΔLL(Ⅰ)-4等級の性能を満たしていることが確認されています。

 直床の例:オトユカロッゾ DW40(大建)

大建ΔLL-5
http://www.daiken.jp/pro/yuka.html
                 *LL40/ΔLL(Ⅰ)-5  



一方、二重床では旧推定L等級の試験方法とΔL等級の試験方法が異なるため性能の読み替えが出来ません。
そのためΔL等級を取得するためには新しい試験方法(JIS A 1440-1,-2)で再測定することになるのですが、旧LL-45よりも1ランク高性能だったはずの旧LL-40二重床を用いて新しいΔL等級試験を行った場合でも、直床より低いΔLL(Ⅱ)-3等級しか取得することが出来ないという現実があります。
また、重量床衝撃音においても、殆どの旧LH-50二重床がΔLH(Ⅱ)-2という低い結果になっています。

 二重床の例:万協フロアーYPEタイプ(標準型)

万協YPE写真
万協YPE等級
http://bankyo.co.jp/product/mansions/ype.html


現在の市場には直床並みの性能と言えるΔLL(Ⅱ)-3等級の二重床が殆ど出回っていないことからも、二重床にとって太鼓現象を反映させた新しい試験のハードルがとても高いことがわかるとおもいますが、推定L等級とΔL等級の対応には、概ね

  LL-45直床        → ΔLL(Ⅰ)-4、ΔLH(Ⅰ)-3相当
  LL-40直床        → ΔLL(Ⅰ)-5、ΔLH(Ⅰ)-3相当
  LL-40、LH-50二重床 → ΔLL(Ⅱ)-3、ΔLH(Ⅱ)-2

                  *ΔL等級は数字が大きいほうが高性能
 となっている現実があります。

これは以前「二重床と直床の遮音性(誤解の理由と遮音の歴史)」で書いた「性能試験制度の問題」を端的に示す例ですね。


「読み替え」の話が実際に問題になるのは、リフォーム時の仕様を定めた管理規約の更新を行う時です。
管理規約には遮音性を維持するため「リフォームの際はLL-45以上の遮音性がある製品を用いること」などと定められているものが多いですが、今後を考えると早めに「ΔLL-4以上」とする書き換えを行った方が良いでしょう。(規約ではなく規則で定められている場合が多いでしょうから、普通決議で変更できます)

ただし二重床の場合はΔLL(Ⅱ)-4の製品は極わずかしかなく、LL-45の二重床に較べてとても高価です。
そのため遮音性はワンランク落ちることになりますが、二重床マンションでは実際の製品自体が旧LL-45と同じレベルである「ΔLL(Ⅱ)-3以上」として規則書換えを行った方が良いように思います。
ΔL等級二重床では旧推定L等級二重床では配慮されていなかった端部ディティルまで配慮した設計がされているため、ΔLL(Ⅱ)-3であったとしても、実質的には旧LL-45製品よりも高い遮音性が期待できるのではないでしょうか。
「推定L等級二重床の実際の性能」にも書いたように、旧推定L等級二重床が実際のマンションに施工された時にカタログスペックからの遮音性能低下が大きかったことからもそのように考えています。 

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  1. 2014/06/17(火) 01:27:34|
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一番の問題は重量床衝撃音

共同住宅のトラブルのうち騒音を原因とするものが多いことは周知の事実だとは思いますが、一体どの程度の割合なのか。またその内容はどのようなものなのか。
今回は(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター(CHORD)による統計資料からご紹介しようと思います。


■共同住宅で起きるトラブルの内訳

住宅相談と紛争尾処理の状況(CHORD 2012)によると、共同住宅で紛争処理の争点になった不具合事象の中では「騒音」が最も多くなっていることがわかります。

2012年3月31日までに終結した298件において、争点になった主な不具合事象は、戸建住宅では「ひび割れ」が多く、共同住宅では「騒音」が多い(表1、表2)。
CHORD不具合事象
http://www.chord.or.jp/tokei/pdf/chord_report2012.pdf
住宅相談と紛争処理の状況(CHORD 2012)


CHORDによる他年の統計資料を見ても近年はずっと「騒音」が不具合事象の首位ですから、共同住宅における一番のトラブル原因は騒音であると言っても良いでしょうね。


■騒音トラブル内での内訳

(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター(CHORD)に対して2005年4月〜2008年3月に寄せられた17,650件の不具合相談と1985年〜2007年の間に訴訟申立がなされた45例の裁判例のうち、音環境に関する相談884件を対象にした内容の内訳が出ています。

不具合の原因になっている騒音源としては、共同住宅では「重量床衝撃音(大きく下階に伝わる低音)」「軽量床衝撃音(比較的軽めで高音域の音)」「その他の固体音 」の割合が高く、戸建住宅では「床鳴り」「外部騒音 」「給排水の騒音 」の割合が高い。音環境に関する不具合は共同住宅の場合に発生しやすく「床衝撃系騒音」など、床、壁、給排水管などの固体を媒介して伝わるものが多い(図34)。
CHORD騒音源
http://www.chord.or.jp/tokei/pdf/chord_report2009.pdf
住宅相談と紛争処理の状況(CHORD 2009)


共同住宅における重量床衝撃音とは≒足音騒音です。
これも想像通りではありますが、共同住宅では足音が一番のトラブル要因になっているようですね。


マンション販売の現場ではLL-45といった遮音性の指標が謳われることが多いですが、それは軽量床衝撃音に関する遮音性の指標(しかも旧世代の指標)です。
重量床衝撃音対策としては第一にスラブ厚の向上。
次に梁間スラブ面積と床仕上げ構造の性能(ΔLH等級)が重要になります。

共同住宅の生活では重量床衝撃音が一番のトラブルの原因になっていることを考えると、今後の二重床マンションには、せめて直床同等の遮音性能を持つΔLH(Ⅱ)-3等級の製品が採用され普及していくことを期待したいと思います。

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  1. 2014/06/16(月) 20:09:46|
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ΔL等級における二重床と直床の遮音性能評価

床衝撃音には、素足歩行音など柔らかくて重い物を床に落としたときに発生する「重量床衝撃音」と、スプーンなどの硬くて軽い物を床に落とした時に発生する「軽量床衝撃音」があります。

現行の床仕上材遮音性能等級であるΔL等級では床衝撃音の遮音性能をΔLL-○(軽量床衝撃音低減性能の等級)と、ΔLH-○(重量床衝撃音低減性能の等級)(○は等級を表す数字)で表現されます。試験方法等それぞれJIS A 1440-1、JIS A 1440-2に定められており、以前の推定L等級に較べて実建物と実験室データ対応性が高くなっている点が特徴です。

■ΔL等級 床衝撃音低減性能と等級の対応表

デルタL等級表


このΔL等級制度において、現在の新築マンションに使われている床仕上構造の等級は

 直床 :ΔLL(Ⅰ)-4、ΔLH(Ⅰ)-3相当 <*注>
 二重床:ΔLL(Ⅱ)-3、ΔLH(Ⅱ)-2

                   *数字が大きいほど高性能
が標準となっています。
(中にはΔL等級ではなく古い推定L等級二重床製品をいまだに使っているデベもありますが

<*注>
構造上重量床衝撃音を増幅することの無い直貼遮音フローリングでは試験室でΔLH(Ⅰ)を実測しているものが少ないですが、下記資料に書かれているように、

ΔL等級でカテゴリーⅠに分類される直貼り防音フローリング(断面構成が一様で、暑さ16mm以下のもの)は重量床衝撃音低減性能(63Hz帯)が0dBであることが法令の運用上認められており、ΔLH(Ⅰ)-3に相当する性能を有している
http://www.gbrc.or.jp/contents/test_research/acoustic/sub/report200803_2.pdf(日本建築総合試験所)


と判断されています。

尚、ΔL等級においては

試験方法および試験結果の等級表記方法を床材のカテゴリー分類に応じて区別することとした。これはカテゴリー分類の異なる床材では床衝撃音低減性能の躯体条件への依存度も異なるため、単純に同列で比較すると性能の優劣に誤解が生じることも考えられるため、これに配慮するためである。
http://www.gbrc.or.jp/contents/test_research/acoustic/sub/report200803.pdf">http://www.gbrc.or.jp/contents/test_research/acoustic/sub/report200803.pdf
(床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会報告書 日本建築総合試験所 平成20年)


とされていますが、上図でもわかるようにΔLL-4ならΔLL(Ⅰ)-4もΔLL(Ⅱ)-4も共通の低減数値を基準としています

つまり新しいΔL等級で規定された性能測定においては、二重床よりも直床の方が遮音性数値が良くなっているのです。

*「床衝撃音低減性能の躯体条件への依存度の違い」というのは、例えばボイドスラブを用いた場合、二重床であればボイドのある薄いスラブ部分と二重床支持脚とがピンポイントで重なって遮音性が低下する確率があるなど、直床と二重床とに躯体条件への相性の違いが存在することなどを指しています(この部分に関しては前田建設が問題視して対策を開発し、特許申請がされています)。

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  1. 2014/06/16(月) 02:58:18|
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