マンションを考えるヒント

現役設計者がマンション購入を検討中の皆様におくる情報ブログです

エコキュートは危険物・・・ではありません

読者の方から、

「危険物に指定されるようなエコキュートは、震災時に破裂したりはしないでしょうか」

というご質問をいただきました。


なんでも、とある「一流建築家」さんが

「 オール電化 」の次の問題点は給湯システムです。「 オール電化 」の給湯システムは深夜電力( 昼間の電気代より安い電気 )を使い「 自然冷媒ヒートポンプ給湯機 」( 俗称:エコキュート )でお湯を作り「 貯湯タンク 」に貯めます。
更に、この「 自然冷媒ヒートポンプ給湯機 」と「 貯湯タンク 」はかなりの面積が必要で、実際使用可能な専有面積が狭くなってしまいます。
この「 貯湯タンク 」は我国では「 危険物 」扱いになっていますので「 貯湯タンク 」から出るお湯の圧力が2Kg/平方センチ未満に抑えられています。
ほとんどの「 貯湯タンク 」はお湯の出口の圧力を1.8Kg/平方センチ未満にしております。
具体的にどの様な現象になるかと言いますと給湯の圧力が1.8Kg/平方センチ未満ですと、シャワーの勢いが「 ガス瞬間湯沸し器(ガス24号給湯器) 」より「 かったるい 」のです。
http://www.jmca.jp/column/jyu/jyu80.html
「オール電化」より調理はガスが良い。 日本経営合理化協会



とおっしゃられていることを心配し、ご相談くださったようです。


なるほどなるほど。


うーむ、これは困った話ですね。


何が困った話なのかというと、一流建築家さんが書いたこの話、まったくのデタラメなので、困っているのです。


まず第一に、

エコキュートの貯湯タンクは、危険物ではありません。

そもそもエコキュートの貯湯タンクには、構造上、上水道圧以上の圧力はかかりません。
つまり構造的には、太くなった水道管と同じようなものです。
当然ですが、危険物指定はされていません。

もしかすると、ノンフロン冷媒より高圧なCO2冷媒(←これも危険物にはあたりませんが)と勘違いされているのかとも思いましたが、どうやらそういった話でもないようで。。。
この方が一体何を勘違いしてこのように言っているのか、まったくの謎です。


さらに2つ目として、

「貯湯タンク 」から出るお湯の圧力は・・・・2Kg/平方センチ(200kPa)未満に抑えられています

  抑えられてはいません。


おそらくこれはエコキュートが「労働安全衛生基準法に基づくボイラー及び圧力容器安全規則」の規制を受けるものと勘違いしたことが原因の間違いだと思われます。

同じ貯湯タンクをもつ電気温水器は「電気ヒーターによりお湯を加熱している」ため、この規制の対象となり、タンク圧力を200kPa以下に抑える必要があります。

しかしエコキュートはお湯の沸き上げに電気ヒーターを用いず、空気が持っている熱を取り出してお湯に集めて加熱しているため、上述した労働安全衛生法施行令の適用外となっています。(機械自体に熱源はないとみなされるらしい)

このあたりは実際に300kPaを超える高圧設定となっているエコキュートがメーカー各社からラインナップされていることからも、その事実を理解することができます。


■ ダイキン エコキュート パワフル高水圧320kPa
ダイキン パワフル高水圧エコキュート 320kPa
http://www.daikinaircon.com/sumai/alldenka/ecocute/function/powerful/

ダイキン 2017





(間違った経緯を)少し調べてみたのですが、この一流建築家さん、10年以上前に自身が執筆するコラムでは

「この「貯湯タンク」は我国では「危険物」扱いになっていますので「貯湯タンク」から出るお湯の圧力が1KG/平方センチ未満に抑えられています。ほとんどの「貯湯タンク」はお湯の出口の圧力を0.9KG/平方センチにしております。」
https://www.sumai-surfin.com/columns/mansion-sinan/unwftoqmqj 2005.08.16 住まいサーフィン



と書かれていたのを、最近になって圧力数字だけを2倍に書きかえ(間違いなのですが)、続く「かったるい」という感想部分は昔のままに、別な場所で書いてしまっているようですね。

この手の設備機器は日進月歩ですから、古い情報や自身のイメージを事実確認もせずに語ってしまうのは、お年とは言え専門家(コンサルタント)という立場で仕事をしている以上、残念でなりません。



尚、およそ0.3㎡ほどの床面積を必要とする貯湯タンクの設置スペースは、容積緩和(上乗せ)をもらえるため、プランニング上の面積は必要になるだけで容積上のロス(≒価格直結の面積ロス)にはならない点を補足しておこうと思います。

このあたりは

スムログ内のはるぶーさんの記事

お便り返し-2 オール電化のデメリット
https://www.e-mansion.co.jp/blog/archives/4032/
2016.10.6 eマンション



内でも私の話を扱っていただきましたので、ご興味があればご参照頂ください。




しかし、

一般の方は、自称一流建築家さんの話の論拠が、まさか丸々デタラメだとは思いませんよね。


以前も書きましたが、マンション業界は本当のようなデタラメがまことしやかに語り継がれ、一般消費者にとっては必要以上に不安があおられる世界。


正しいことを論拠をもって、正確に伝えること。

私自身、気を付けていきたいところです。

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  1. 2017/09/18(月) 14:19:26|
  2.  エコキュート
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豊洲市場は法定基準を十分に満たした新型なのですが

これは建築的な話ではなく、単なる雑記です。







とある「都民さん」がこの春、50年以上も乗った古い車から、「新型車T」への乗り替えを計画していました。

今度の車は綺麗で安全なエコカー。
旧車とは違い、当然ながら現行の車両法定基準を満たしています。


これまでの車とは違ったハイブリッド装置に対する危険性を指摘する声や、旧車の風情にこだわる人達からの反対にもあいましたが、昨年やっとの思いで契約できました。

既に新車登録も車検もOK。

保険契約も済んで、駐車場も契約しました。

あとは納車を待つだけ



・・・という段階で、突然、ある問題が浮上します。



「新型車Tの車両後部フェンダー下に、カタログイラストには描かれていない「穴」を発見。経緯を調査!」


続いて、元々新型車Tへの乗り換えに反対していた人達が、その「穴(排気管)」にガス検査装置を突っ込みながらこう騒ぎます!


「新型車Tの後部にある「穴」からガスが噴出。環境基準(大気)の○○倍の窒素酸化物を検出!」

「鼻をつく異臭! 直接吸うのは危険!!!」



突然ふってわいた騒ぎに「都民さん」があっけにとられる間、マスコミの報道は更に過熱します。



「こんな車に乗るなんて考えられない!都民の健康を第一に考えるべき!」

「穴の存在を事前に報告しなかった担当者はクビだ!」

「安全だんてまやかし。車台の下に有毒ガスが潜む車で運んだ食べ物は食べられません(怒)」



ヒートアップした報道に便乗するように、自称専門家達が現れて騒ぎ立てます


「そもそも何だこの穴は!?汚染されたガスが噴出しているだけではなく、液体も滴っているし、欠陥車じゃないのか!?」(後日問題なしと判明)

「見ろよこの写真、前輪が曲がっているぞ。これは構造的な欠陥もあるに違いない!!」(後日問題なしと判明)




一部には「そんなの当たり前」とか「今乗っている旧車よりはるかにマシ」といった声もありましたが、あることないこと含めてさんざん騒がれた「都民さん」はとても不安になって正常な判断ができない状態です。


家族からも

「都民の安全性を考えると、これは新型車への乗り換えを慎重に考えるべき」

と言われてしまいまいた。




そんな中、急遽都知事が会見を開き

「この新型車の使用を無期限で禁止します」との政治判断をします。


不安に踊らされた世論とマスコミの報道を受け、都知事の支持率はうなぎのぼり。





その一方で新車に乗り換え予定だった都民さん。

今日も安全性に疑義のある旧車にのりながら、より安全は新型車が完成しているにも関わらず、利用することができません。

しかし各種契約は済んでおり、維持費だけは毎日垂れ流しです。。。



そもそも直接吸うことを想定していない排気ガスに大気環境の基準値をそのまま当てはめるべきなのか、、、他の車も同じ構造では!?

・・・時々ふと何か議論が根本的にに間違っているような気がする時もありますが、「絶対安全」を叫ぶ世論や雰囲気に押され、もう自分ではどうすれば良いのかわからなくなってしまいました。



新型車は今も使用禁止です。



やはり都民さんは、新型車に乗り換えるべきではないのでしょうか。


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  1. 2017/01/17(火) 07:00:57|
  2. ■その他
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豊洲は大丈夫なの!?

本日2016年10月11日

「豊洲新市場の地下水から環境基準値を上回るベンゼン・ヒ素が検出」

という報道からしばらく時間がたちました。

エスカレートしていた報道も少し落ち着いた感(飽きられた感!?)がでてきている時期ですね。

そんな中、私も建築関係者として、

「豊洲の安全対策は、安全性は大丈夫なの?」

などということを、幾度か聞かれることがありましたので、実際の部分が分かりにくくなっている今だからこそ、豊洲新市場の騒動に関して少し書いてみようと思います。

*ちょっと出遅れた感のある話題ですが、なにせ半年以上ぶりの更新なので、大目に見てやってください。


■豊洲って大丈夫なの!?

まず初めに書いておきますが、私高橋は、豊洲とも、豊洲市場とも、市場の設計・施工会社とも、都とも一切関係のない立場にいます。
豊洲のマンションなんて高くて手が出ませんし、個人的に言うとあまり好みの街でもありません。都心に近く、これから発展の余地がある場所だとは思いますが。

その上で、
「豊洲は大丈夫なのか?」

この点に関して、建築関係者としての私の考えを一言であらわすならば

「大丈夫」

ということになります。


そもそも、豊洲市場の安全対策は、現時点で既に

「やりすぎ」です。

豊洲市場では一般的な基準値をクリアしたうえで、念には念を入れるという考えのもと、元からどこにも存在しない「100%の安全」を求めて(求める一部の声に応えるという体裁のために!?)盛土や地下水管理システムなど「プラスアルファの安全対策」を行ってきました。
私からすれば、それらの追加対策は常識的なレベル(費用対効果を期待できるレベル)をはるかに超えており、巨額を費やしたものの実質的な「食の安全」に対してどれほど有意に作用するのか疑問に思える程ですらあります。

今回「環境基準値を上回るベンゼン・ヒ素が検出」と騒がれてはいますが、その「環境基準」とは「飲用水等」に対する基準値であり、飲用や清掃などに用いない豊洲の地下水がこの基準値を超えていようがいまいが本来のところ関係ありません。
飲み水ではない水が、飲み水の基準を満たしていないだけ。
極端に言えば「東京湾の海水が飲用に適さない」という話と大差のない話ですね。

一般的に求められる基準は十分にクリアしている今の豊洲市場を「大丈夫ではない」というのであれば、現築地市場も含めた世の中のすべての建築物や開発に対して「大丈夫でない」と言わざるを得ないことになってしまいます。

今回の騒動で豊洲市場の安全性に懸念を持たれているみなさんには、まず最初に現在騒がれていることは「そのレベルの話」であるという事実を知っていただきたいです。
マスコミの煽りやデマに乗って損をするのは、最終的には私達なのですから。



■ 謎の地下空間!?

一時期、「謎の地下空間」が世間を騒がせていましたが、建築に関わる人間からすると正直その表現自体が苦笑ものだったと思います。
建築的にみるとあのような大規模建物の下に人が入れる空間は絶対的に必要なものです。
盛土の上に作るか埋め込むかは別にして、特に新市場のような建物であるならば、設備更新やメンテ、また中長期的な使い方の変化に対応する必要があります。そのため、建物の下に人が入って作業ができる空間が必要になるからです。
一般的なビルにもマンションにも存在する「地下ピット」ですね。もしピット無しで豊洲市場を造っていたら、それこそ設計ミスの使えない施設になっていたことでしょう。
*ただ、あれだけの規模の「連続した空間」を設けることは確かに異例といえば異例です。地下ピットではあるのですが、現状、私たち建築関係者にとっても「地下空間」という表現が相応しい規模で形成されていました。重機を入れて作業をするといえばそうなのかもしれませんが、規模的に見ると確かに異例といえば異例。

まあ「予定通りの2.5m盛土がされていない」こと自体を問題として指摘するのであれば、実際には他にも指摘すべきポイントはいくらでもあります。例えば豊洲市場周辺の道路の下には厚さ約0.5mの砕石層など(基礎地盤)があります。
そのため、盛土も予定の2.5m厚は行われず、約2m程度に「薄く」なってしまっているはず。
仮にこれを地下空間と同じく扱うならば、「謎の地下砕石」と名づけて大騒ぎする必要がありそうですが・・・話題性の問題なのでしょうか。それとも都の模式図に道路の厚さが描かれているからOKなのか。
マスコミも煽りや大騒ぎが目的で、もはや問題が何なのか、自分達でもわからなくなってはいないかと心配になってきさえします。



■問題だったのは「安全性」ではなく情報共有と情報公開の精度

今回、問題だったのは、検出されたベンゼンでも食の安全性でもありません。

大きな問題の一つは、都の技術屋と事務方の連携と情報共有、コンセンサスの形成と、情報公開のしかた。決定経緯の不明確さ。
更にもう少し言うならば、一般向けの模式図の描き方(苦)

豊洲市場断面模式図(東京都)
出典:東京都


この点、都はしっかりと反省しなければいけません。

しかしこの模式図、相変わらず表現とスケール感がイマイチですよね。
これを見て私は護衛艦おおすみ接触事故の模式図(下図)を思い出してしまいました。

おおすみ航路(テレビ朝日)
おおすみ航路 テレビ朝日モーニングバード
暇つぶしにどうぞ http://ooguchib.blog.fc2.com/



技術屋側では早い段階から盛土を行わない予定で進めていたものが、事務方にうまく伝わらず、もしくは伝わっていたとしても大きな問題として扱われず、模式図も間違ったまま正しい情報が公開されず、移転直前になって指摘を受けて大騒ぎしている。
これは明らかに都側の失態です。
*その一方で、地下が空間になっていることを知っていたにもかかわらず、騒ぎになったのを見て「知らなかった」と驚いてみせた関係者が何人もいるはずなのですが。


そしてもう一つ、今回やっていることが
一番酷く問題があったと言えるのはマスコミの報道だと感じています。

「豊洲」というキーワードで種々の無用な不安を煽るばかりか、真偽を検証することもなくデタラメなことを言うコメンテーター(建築エコノミストなど)を動員して視聴率を稼ぎ、新聞に「環境基準の0.4倍のヒ素を検出」などと見出しを付ければ、一般の人は不安に思ってしまうでしょう。
もはや「一酸化二水素」のような話なのですが、微々たる可能性を大げさに叫んで不安を煽るばかりか、地下の柱が傾いているなどと全く火のないところにまで煙をたてて大騒ぎするマスコミには本当にあきれるばかり。
自作自演の風評被害はもう懲り懲りという、東日本大震災の報道であった反省を全く生かすことができなかったのは、非常に残念と言わざるを得ません。




■必要なのは「安全?」「安心?」

「安全」と「安心」

冷静に考えるとこの2つ、似ているようで全く別の概念です。

「安全」とは「許容できないリスク」を設定・線引きした上で、最終的には確率的・比較論的な概念だと気づきますが、「安心」はそうとばかりも言えません。
安心とは一義的には主観に基づいて形成されるものなので、危険性が高くても安心してしまうこともあれば、その逆もありえます。


私たちがより注視すべきは、「安全」なのでしょうか、それとも「安心」なのでしょうか。


私は何も「安全ならば安心は要らない」と言っているわけではありません。

ただ、「~の危険性があるかもしれない」「~に影響を及ぼす可能性がある」というような、リスクの評価を抜きに可能性という一面だけをピックアップした話(感情論)に流されず、現実的な基準で豊洲市場の環境を評価し、築地の現状と比べ、そのリスクが許容し得る範囲のものなのかどうかを判断する必要があるということです。
「ゼロリスク」は存在しないという現実を直視して、情報を発信する側と一緒に、情報を受け取る一般消費者側も賢くならなければなりません。
安心は正しい情報発信と、正しい評価から生まれるものだからです。




余談ですが、私は都内のいろいろな建物に入る機会があります。
古い建物も、新築の建物も、解体現場も建設途中も。
そもそも中規模以上の建物では、汚水(トイレの排水)や雑排水(トイレ以外の排水)を平気でピット(地下空間)にためておきます。
私が豊洲市場の地下空間を映像で見た時の最初の感想は「流石は新築未使用、綺麗だなあ」というものでした。
これはたまり水の水質云々ではなく、「見た目」の問題です。
食品を扱う建物のピット(地下空間)はお世辞にも綺麗とは言えないものが一般的ですし、ましてやその溜り水を豊洲市場のように飲用できるようなレベルで管理しようとしている建物は一つもありません。
そんなレベルで管理してもコストばかりがかかる反面、衛生面では何もプラスにならないからです。
皆さんのマンションのピット(地下空間)だって、都内の新聞社やテレビ局のピット(地下空間)だって、場所によっては「相当なこと」になっています。
ましてや築年数が古く、恒常的に「美味しいもの」を扱ってきた築地のピット(地下空間)なんて、きっと「とてつもないこと」になっていますよ。

しかし、私はそれが即使用を中止しなければならない程の問題だとは考えていません。

一定の基準をクリアした上で、実的な問題が出ないのであれば、それで良いと、そう思うのです。(築地の現状が一定の基準をクリアしているかと言われると、非常に怪しいとは思いますが。)


今回の豊洲市場の騒動は、拳を振り上げた都知事自身が冷静に、客観的に状況を分析し、「安全宣言」を出して早期に幕引きすることが都民にとってもベストだと思います。

マスコミは今も盛土をしなかった犯人探しに躍起になっているようですが、それとは別に、豊洲への市場移転をここまで延期して大きな損害を出してしまった責任をどうするのか、こちらも検証を行う必要があると思うのですが、みなさんいかがお考えでしょうか。

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  1. 2016/10/11(火) 07:00:47|
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高遮音二重天井のご紹介

昨秋、大成建設から「T - Silent Ceiling SM」という遮音二重天井が開発されました。

これ、結構画期的だと思ったので、ご紹介させていただきます。


■粒状体を用いた遮音天井「T - Silent Ceiling SM」を開発
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2015/1443421263662.html
(大成建設 20156.10.06.)

大成建設株式会社(社長:村田 誉之)は、無機系粒状体「ゼオライト」を封入した特殊粒状体袋を天井裏に配置し、騒音を大幅に低減する遮音天井「T-Silent Ceiling SM」を開発しました。床衝撃音や固体伝搬音などの低減に有効です。
高遮音二重天井 大成建設 2015




なぜ画期的と言えるかというと、これ、実的に使える

「自室側で施工できるほぼ初めての上下階間遮音方法」

だと考えられるからです。


これまで上下階間での騒音は「床」で抑制することが常識でした。

しかし上階からの騒音に悩む住人側から見たとき、改善すべきは「上階住戸内の床」。

つまり「他人の床」にあたるので、いくら煩いとはいえ、おいそれと手出しできるものではありませんでした。
(流石に「煩いので床をリフォームしてください」とは言えないでしょう。「静かにしてください」と言ったほうが手っ取り早く、かつ効果的かと。)



しかし、それが「天井」で遮音できるとなれば話は別。

二重天井とその内側(天井スラブまでの間)は、自室専有部分。

つまり、自分で自由に弄って良いということになります。


この「T - Silent Ceiling SM」は63Hz帯~500Hz帯の全域で約10dBという高い遮音性能も魅力ではあるのですが、何より

 「ゼオライト」を封入した特殊粒状体袋は、天井裏全面に敷き詰めるだけなので、施工が容易です。
このため、新築だけでなくリニューアル等で遮音対策を必要とする既存建物にも適用が可能


というところが良いですね。


・・・とはいえ、騒音に悩む住人が既存天井に対し(天井下の壁などをそのままにしたまま)ポン付けで簡単に施工できるものではありません。
「天井だけの部分リフォーム」的な施工が絶対無理だとは言いませんが、ハンガーを防振形に変更するなどの改装が必要になったりしています。
そもそも普通のマンション(特にリビング)では、天井を目一杯上げることが多いので、この防振ハンガーが天井裏に収まる寸法がとられていない部屋も多くありますからね。
相当規模(コスト)のリフォームが必要になるでしょう。

しかし上述したように「材や仕組み」としては単純であり、改善性能も優秀なため、全面リフォームや新規工事を考える場合には、コスト面を含めて有力な選択肢となり得るものだと思います。



今回のグラフからも見て取れますが、元々一般的な二重天井は足音などの重量床衝撃音で問題となる63Hz帯騒音を増幅する傾向があるため、騒音に対してはネガティブなものと考えられてきました。

二重天井のメリットとデメリット
http://mansionnavigate.blog.fc2.com/blog-entry-44.html


*数は多く有りませんが、「遮音性に配慮して二重天井を・・・」などという全く逆の売り文句を語るデベや評論家がいまだに存在することが非常に残念なのですが。。。

しかし「二重天井のメリットとデメリット」にも書いたとおり、メンテナンス性の確保や配線などを仕込むスペースとして現代のマンションには必要不可欠な仕様となっている二重天井。

これまで天井部分での遮音はなかなか難しいと考えられてきましたが、そこにあえて踏み込んで遮音性改善のためのスペースとして活用するあたり、流石はスーパーゼネコン、大成建設あっぱれと言って良いのではないかと思います。



「T - Silent Ceiling SM」のコストは公表されていませんが、おそらく二重床造作よりも安価で、しかも遮音性が改善されるという「実のある」代物になりそうです。
以前書いたように、現在の乾式二重床の殆どは直貼り工法に比べて遮音性が悪化しています。)

特に首都圏において二重床信仰が根強く残っていることは私も理解していますが、性能は性能でまた別の話。

私個人的には、安易に低性能な乾式二重床を(コストをかけてまで)採用するよりも、このような「消費者にとって実利あるモノ」にコストをかけた方が良いのでは、、、と思ってしまうのですが、売主各社様、いかがなものでしょうか。



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  1. 2016/02/08(月) 07:00:26|
  2.  天井高と階高
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遮音床仕上 最近の話題

以前からこのブログで詳しく取り上げている乾式二重床、直床の双方に、新しい動きがましたので、ご紹介します。


■ 乾式二重床系

乾式二重床は「コストを抑えつつ、低下しがちな遮音性をどうやって改善するか」に主眼をおいた開発が進んでいるようです。
以前からそうなのですが、この分野の研究開発に熱心なゼネコンとそうでないゼネコンとで結構ハッキリわかれますね。
いろいろ手法を開発はしているものの、現実には「コストの壁」に阻まれるのか、まだ、実績として残るまで至っていない点が残念ではあります。

■粒状体を内挿した乾式二重床「T-Silent GranFloor」を開発
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2015/1445844536723.html
(大成建設2015.12.03)


乾式二重床とコンクリート床スラブとの間に、袋に入った粒状体を内挿することで、コンクリートに伝わる振動を抑制し、床衝撃音や固体伝搬音を大幅に低減する乾式二重床「T-Silent GranFloor」を開発しました。(中略)
粒状体の入った袋の設置により、5dB〜10dBの騒音低減が可能です。
大成建設 二重床遮音 「T-Silent GranFloor」

文面からすると乾式二重床特有の重量床衝撃音の遮音性改善に効果があるようです。
数値的には結構な改善値ですね。コスト的にも手間的にも、現実的な(採用されうる)改善方法になりそうな手法になりそうで期待が持てます。




■「遮音高性能乾式二重床」を開発
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2015/1424245265826.html
(大成建設2015.04.16)


従来の乾式二重床は床材とスラブに挟まれた空間を配管スペースとして利用し、部屋の配置等を自由に設計できることから、多くの集合住宅で採用されていますが、その共振特性により重量床衝撃音や固体伝搬音を増幅させる傾向があります。(中略)
そこで大成建設はトップ工業と共同で、床材を安定的に支え、揺れを抑制する二連支持脚と重くて硬い床材(硬質石膏ボード、パーチクルボード)とを組み合わせることにより、重量床衝撃音や固体伝搬音を効果的に低減させる「遮音高性能乾式二重床」を開発しました。
遮音高性能乾式二重床(大成建設 2015)

高価なアスファルト制振シートを使わずにΔLH-4等級を取得できる数少ない乾式二重床。
下地合板を「点で支える支持脚上板」ではなく、「線で支える上板」と「硬質下地板材」を用いて遮音性能を向上させている点は、以前紹介した竹村工業のジャストフロアーとも共通する部分がありそうです。


■石貼り仕上げの低床乾式遮音二重床工法「NSフロアーⅥ」を開発
http://www.kumagaigumi.co.jp/press/2014/pr_140402_1.html(熊谷組 2014.04.02.)

今回、開発したNSフロアーⅥは、パーティクルボードの上の下地材を針葉樹合板の一枚貼りとし、もう一枚は環境に配慮したガラス繊維不織布入りせっこう板に変更しました。
 また、乾式二重床を低床とすると、一般的には床衝撃音低減性能が低下しますが、本工法では支持脚の仕様を工夫することにより、床仕上げ高さ100mmで施工した場合でも性能の低下を起こさず、従来工法と同等の高い床衝撃音低減性能を実現しました。
石貼仕上低高二重床「NSフロアーⅥ」熊谷組

乾式二重床のメリットである「石材仕上等での高遮音」という特徴を伸ばした新型二重床。
ただし手法に斬新さは無く、高さ的に二重床のメリットの一つでもあった床下配管は無理。
また「軽量:ΔLL(Ⅱ)-3S 重量:ΔLH(Ⅱ)-2S」という遮音性能を「高い」と謳っている点にも少々疑問が残ります。






■ 直床系

直床系は持ち前の高い遮音性能と低コストを武器にしながら、歩行感の改善を図った遮音フローリングが製品化されはじめました。

フワフワしない遮音直貼フローリングの出現です。

以前から歩行感改善型(フワフワしない)直貼フローリング・クッションシートはあるにはあったのですが、どれも大手メーカーによる製品ではなかったため、設計、売主ともに「どんなものなのか」多少静観していた部分がありました。

しかし、2015年後半になって朝日ウッドテックやサンワカンパニーといった大手からも歩行感改善型(フワフワしない)の直貼フローリングが発売され、三菱地所のような大手デベロッパーが早速自社の新築マンション(ザ・パークハウス南行徳)に採用し始めているという点が、直床・二重床を含めて最も大きな動きと言って良いのではないでしょうか。


■ザ・パークハウス 新歩行感フロア「スマートハード」を採用
http://www.mecsumai.com/tph-minamigyoutoku/equipment/index3.html#btnArea
新歩行感フロア「スマートハード」 三菱地所
ザ・パークハウス南行徳 三菱地所レジデンス 2015)


三菱地所レジデンスによる新築マンション「ザ・パークハウス南行徳」で歩行感改善型の遮音フローリングが採用されました。

三菱地所レジデンスは業界内でもいち早く推定L等級(LL-45等)を使った古い遮音性表示を撤廃するなど、遮音に対しては比較的積極的なデベロッパーだと思います。
直貼遮音フローリング自体、三菱地所でも以前から採用実績のあるものではあるのですが、「直床の弱点」とも言われてきた「フワフワした歩行感」が改善されることで、より一層採用例が増えるのでは・・・と想像してしまいます。
尚、スマートハードとは下記、朝日ウッドテックの製品名のようです。



■歩行感改善直貼フローリング登場!
歩行感改善直貼フローリング 朝日ウッドテック
http://www.woodtec.co.jp/renovationfair2015/ 朝日ウッドテック 2015)

L45=ΔLH(Ⅰ)-4を取得した遮音直貼りフローリングが、業界大手の朝日ウッドテックからもデビューするようです。すでに新築マンションへのフローリング供給元として大きなシェアを持つメーカーなので、三菱地所以外のデベにも普及が見込まれる製品だと思います。



<追記>2016.10.02.
この朝日ウッドテックのフローリングの実物を見ました。フワフワ感をなくすために「しっかりした硬さのあるクッション材を使っている」のかと思いきや、これがなんと真逆で、これまでの遮音クッションよりも更にやわらかいクッション材を使っていました。そのクッションはあまりに無抵抗なので、逆に足が触れた瞬間からの「沈み込み」を感じさせず、足に残るのはクッションが底付きした時のしっかりとした感触だけ。そのため、フワフワ感が無い・・・という代物です。耐久性とか大丈夫なのかな、これ。しかし面白い、逆転の発想でしたね。





■フワフワしないしっかりした歩行感の遮音フローリング
 デューロ・ボーン
フワフワしない遮音フローリング デューロボーン サンワカンパニー
http://www.sanwacompany.co.jp/shop/c/c301523/
 サンワカンパニー 2015)

サンワは一般消費者向けに低価格で建材を供給する大手の建築資材販売会社です。
新築マンションにサンワの本製品が採用されることは少ないかも知れませんが、既存マンションのリフォームなどに向け、より幅広い選択肢を示せる製品だと思います。






ということで、当ブログでも比較的アクセスの多い「直床・二重床」に関して、最近の話題や新製品などを紹介してみました。

二重床がウイークポイントである遮音性の改善に四苦八苦している間に、直床は一つ一つ着々とウイークポイントを消してきている印象がありますね。

5年位前までは「二重床は遮音性が高い」という間違った常識が宣伝文句にまで使われていたマンション業界ですが、最近では古い人や古い記事を除き、そういう話を聞く機会が少なくなってきたようい思います。

その一方で、2016年現在販売中の新築マンションに採用されている殆どすべての二重床が、直床よりも遮音性能で劣るものであるという状況に変化はありません。

スマートハードのような歩行感改善型の直床遮音フローリングは、この先益々増えていって数年のうちに主流になっていくことと思われます。

二重床にとって殆ど唯一のメリットであった「歩行感」までも直床に並ばれてしまっては、消費者にとっての実利を考えると殆ど二重床を選択するメリットがなくなってしまったかな、、、、という気がしているのですが、首都圏での二重床信仰はまだまだ根強いものがあるようですね。

そんなこんなの理由も有り、「消費者の実利」ばかりが採用・判断基準とはならないのが、実際のマンション販売業界。




散発的にはなりますが、今年も高橋健介は実需でマンション購入を考えるみなさんに対し、

「消費者にとっての実利がどこにあるのか」

を考えてもらうヒントを書いていきたいと思います。



だいぶ遅くなりましたが、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。




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  1. 2016/01/25(月) 07:00:27|
  2.  直床・二重床
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防災倉庫にイナバ物置を活用しよう(その2)

前回「防災倉庫にイナバ物置を活用しよう(その1)では、

「特定の小規模な物置は建築物に該当しない」ことになったという記事を書きました。

今までは「かなりクロに近いグレー」状態で放置されていた部分だったですが、正式に国交省の判断とお墨付きが出たわけです。

これは防災倉庫等の普及を目指した施策の一つでもありますので、、既存のマンションにおいて積極的に活用し防災対策を強化していきましょう。


今回はこのような防災倉庫を設置する上での「具体的な注意事項」を書きますので、参考にしてみてください。




■ 防災倉庫を設置する上での注意事項


・水害に耐えられる場所に設置しておくこと

災害は地震ばかりではありません。
局地的集中豪雨や大雨洪水による水害に遭う可能性もあります。
防災倉庫自体、土地の低い場所への設置はなるべく避けましょう。
また、倉庫内では、工具などの水濡れしても良いものは下に。
発電機や照明などの濡れると壊れるものは上部に保管しましょう。


・地震時に転倒落下ないよう固定すること

物置自体が倒れないように、地面にしっかりと固定することが必要です。
プレハブ物置自体は比較的地震に強く、規定の方法で組み立てられ規定荷重内であれば、まず構造体が変形・倒壊するようなことにはなりません。
一方で、内部では物品に対するロープなどでの固定が必要となります
大切な防災物品類が地震時に落下、破損していては意味がありません。


・鍵の管理を適切に行うこと

深夜の地震発生時に「委託先の管理人が不在。防災倉庫の鍵のありかがわからず、使いたくても使えない」では泣くに泣けません。
防災倉庫鍵(予備鍵)の管理に関しては管理組合内(理事会内)で取り決めを行い、複数の開錠手段を確保しておくことが必要です。


・備品の使い方を書いておく

共用の防災機器、備品類は、誰が使うかわかりません。
発電機など普段は使うことの無い機械を準備することも多々あると思います。
どのように使うのか、どこで使うのか、誰でも一目でわかるように倉庫の扉内に書いて貼っておくなど対策が必要です。
また、防災訓練時には皆で試しに使ってみるというソフト面での対策も必要です。
定期的な使用・訓練は、維持管理にもつながります。


・水、非常食は各戸で備蓄

「防災倉庫」ではありますが、住民分の水や食料の確保は各住戸が自宅で行う必要があります。
住人分の食料を共用防災倉庫で必要量保管しようとすると、スペースがいくらあっても足りません。
また、その維持管理にもコストがかかる上、イザと言う時の食料の配布にも多大な労力と時間が必要になります。
「防災倉庫を作ります」とアナウンスすると、「食糧も備蓄してくれるのね」という都合の良い解釈をする人が必ずいます。
臨時防災センター用のお茶セットや、当直「管理人さん」分の水食料くらいは備蓄しておくのも良いとは思いますが、防災倉庫設置と併せ「3日分以上の水食料の備蓄」を住人に周知する必要があります。




だいぶ前に

避難袋は持っていますか? 2 <買い溜め」しましょう>
http://mansionnavigate.blog.fc2.com/blog-entry-13.html


でも書きましたが、災害対策として第一に必要なのは

  水・食料の備蓄   です。


高層住宅防災対策パンフレット(東京都中央区)
高層住宅防災対策パンフレット(東京都中央区 2014.04.15.)



にも書かれていますが、特に高層マンションにおいては食料、水、トイレをそれぞれ下記の数量を各家庭で備蓄することが推奨されています。

 食料 :1人1日3食×3日分
 水  :1人1日3リットル×3日分
 トイレ:1人1日8回×3日分



さあ、みなさんもこの機会に防災倉庫の設置、食糧備蓄の増強を行ってはいかがでしょうか。



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  1. 2016/01/11(月) 07:00:52|
  2. ■耐震・防災
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防災倉庫にイナバ物置を活用しよう(その1)

■ イナバ物置はこれまですべて建築物でした

「イナバ物置」と名指しで書きましたが、勿論「ヨド物置」でもかまいません(笑)

今回は一言で言うと、こういうプレハブ物置の話です。

イナバ物置 ネクスタ NXN-41CS
イナバ物置 ネクスタ NXN-41CS(稲葉製作所)




マンションのみならず一戸建て住宅や商業ビルでも屋外倉庫として重用されてきたこれらのプレハブ物置ですが、実はこれまで厳密には「建築物」とみなされてきたため、特に防火地域・準防火地域内に設置する場合には小型のものであっても建築確認申請が必要でした。

「えっ!? ウチにもあるけど、そんなの出した覚えない」

という方も多いと思いますが、防火地域内であればそれは≒違法状態であるということを意味するものです。(防火、準防火地域外であっても10平米を超えるものは確認申請が必要。容積OVERはNG。)

しかし、実際にはこれらのプレハブ物置設置の際に確認申請が出されることはこれまでも殆どありません。
あまりに目立つ場合(大規模な新築行為や実的居室利用等)には行政から査察・指導が入ったりもしましたが、戸建て住宅やマンションでの増築行為に対しては事実上、行政側も黙認状態だったと言えます。




■ 災害に強いまちづくりの推進のために

しかし2015年2月に、国交省からの技術的助言として

 ・土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む)
 ・外部から荷物の出し入れを行うことができるもの
 ・内部に人が立ち入らないもの


これら3つをすべて満たす場合にのみ、「建築物に該当しない」という判断が下されました。


建築物でなければ防火地域内であっても容積が一杯一杯であっても、防火地域内であっても、合法的に物置を設置することが可能です。

これからはみなさんのマンションでも、災害に強いまちづくりの推進のためにプレハブ倉庫を大いに活用していただければと思います。


小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて(技術的助言)

土地に自立して設置する小規模な倉庫(物置等を含む。)のうち、外部から荷物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについては、建築基準法第2条第1号に規定する貯蔵槽に類する施設として、建築物に該当しないものとする。したがって、建築確認等の手続きについても不要である。

http://www.mlit.go.jp/common/001093081.pdf
国 住 指 第 4 5 4 4 号 平成27年2月27日(国交省



地域や主事により解釈や運用が異なる場合も多い建築基準法ですが、国交省から都道府県宛の技術的助言としてこのような内容が明文化された点は非常に大きいですね。

逆に言えば、上記に該当しないプレハブ物置は建築物であるということが明文化されたことにもなりますので、設計だけでなくマンション管理に携わる方はその点にもご注意いただければと思います。





■ 具体的には

今回の技術的助言に基づいて判断すると、こういう物置

イナバ物置 アイビーストッカー
イナバ物置 アイビーストッカー BJX-117D
http://www.inaba-ss.co.jp/monooki/webdb/detail.php?pnum=BJX-117D


は、建築物とみなされません。



イナバ物置 ナイソー

イナバ物置 ナイソー SMK-47H (窓はオプション)
http://www.inaba-ss.co.jp/monooki/webdb/detail.php?pnum=SMK-47H


くらいまでいってしまうと、人が入れますのでこれまでも、これからも建築物となります。


これまでは「床面積が10平米以内であるか否か」で物事が判断される場合も多かったのですが、今回は10平米を境に判断されるものではありませんのでご注意ください。




そもそも「建築物」とは、土地に定着する・・・という定義がありますが、このあたりの解釈もまた単純なものではありませんでした。
ご興味のある方は、下記サイト等をご一読ください。

http://kenchiku-saikou-kikaku.com/architect-stories/kenchikubutu.html
株式会社建築再構企画 2013.10.28.)

建築基準法上、かなりおおまかに言うと「屋根があれば建築物」というルールで運用されてきています。
イナバ物置のようなプレハブ物置は、以前から建築物なのかそうではないのか、非常に非常にグレーな存在でした。
まあ、グレーと言っても、ここ5年くらいはかなり黒に近いグレーではあったのですが。

特に戸建て住宅において屋根付きカーポートやプレハブ物置が「後付け」される理由には、固定資産税評価的な観点の他にもこのあたりにあります。

その点、今回の技術的助言によって、ある程度ハッキリと白黒がついたように思います。

「防災倉庫」普及に向けてプレハブ物置の活用が促されるというせっかくの機会です。
各製品メーカーにおいては、これらの情報を商品説明に反映させ、消費者側での合法的な選択と設置を促すよう、よりわかりやすい解説を行うことを期待したいと考えています。

引き続き、次回は「防災倉庫を設置する上での注意事項」について書きたいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

稲葉製作所のWebサイトを見ると

よくある質問 (稲葉製作所)
Q:建築確認申請は必要ですか?
A:確認申請とは…建築物を建てる場合、敷地との関係、構造等が建築基準法に適合するかどうか建築主事(もしくは指定確認検査機関)に確認申請を行い、確認済証の交付を受ける必要があります。
http://www.inaba-ss.co.jp/monooki/lineup/qa/index.html(稲葉製作所)



・・・と書いてあるのですが、そんなことは当たり前であって、必要な情報は「どのタイプの物置が『建築物』にあたるのか」ということですよね。

建築確認申請というものは簡単なものではありません。

「各地域の主事の判断で・・・」という話もプロ設計者が相手であれば理解できなくはないのですが、私から言わせればこれは単純にメーカー側が逃げを打った話でしかないと感じています。
発生しうるリスクをあいまいにしか開示せず、実質的に消費者(購入者)側に責任を押し付けるに等しい解説で、あまり関心できるものではありませんね。
規模的にも明らかに「10平米超の建築物(=有無を言わさず確認申請が必要)」であるものがラインナップ中に含まれているのです。
一般消費者を相手に販売を行う商品だからこそ、建築確認申請が必要かどうか(それが建築物にあたるかどうか)は、メーカー側で可能な限り正しく明示すべきものだと思うのですが、みなさんいかがでしょうか。


<参考>

建築確認Tips  庭先のプレハブ物置は建築物なのか?

建築確認Tips 小規模な倉庫の建築基準法上の取扱い:国交省の技術的助言

防火地域及び準防火地域外では十平方メートル以内の増築なら確認申請不要
(建築基準法第一章第六条2項)


平屋の付属物置等と延焼のおそれのある部分の取扱い(足立区)

簡易物置等は建築物です(大分市)



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  1. 2015/12/22(火) 07:00:17|
  2. ■耐震・防災
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消費者事故調 エネファームの騒音・健康被害を調査

エネファームの影響調査 消費者事故調 
2015年11月27日 20時46分
 消費者安全調査委員会(消費者事故調)は27日、ガスを使って電気とお湯を供給する家庭用設備「エネファーム」や「エコウィル」の影響で不眠などの健康被害が出たとの申し出を受け、運転音や振動と症状との関連を調査することを決めた。
 エネファームはガスの化学反応で、エコウィルはガスでエンジンを動かしてそれぞれ発電し、廃熱を給湯に利用する仕組み。家庭用コージェネレーション(熱電併給)設備と呼ばれる。
 消費者事故調などによると、エネファームとエコウィルはそれぞれ10万台以上が販売されている。事故調などには被害相談が今年10月までの約4年間で32件寄せられた。
(共同)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015112701001682.html
(東京新聞 Web)



エコキュートの記事でも書いた通り消費者事故調の調査は「特定案件」について行われるものだという点に注意が必要なのですが、まあ、調査した上で「関連が無い」という結論はなかなか出しづらいのでは・・・と思われるこの手の騒音問題。

個人的に、エコウィルはレシプロエンジンを内蔵するものなので騒音に直結するイメージがありましたが、エネファームはあまり音を出すというイメージがありませんでした。
(実際に使ったことが無いもので・・・すみません)

何にせよ「何らかの給湯設備を使わざるを得ない」という実際の住生活を想定する場合には、単に「騒音被害との関連の有無」を語るだけでは片手落ちな感が否めません。

「何と比較して、どの程度」という点まで踏み込まないと、調査対象機器に対して単に不安を煽るだけにもなりかねないですからね。

消費者事故調には、より詳しい、消費者が選択をする上で有用な調査結果を期待したいところです。



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  1. 2015/12/08(火) 07:00:16|
  2.  エネファーム
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